代表的な皮膚ガン
代表的な皮膚ガンに、1.日光角化症、2.ボーエン病、3.扁平上皮癌、4.基底細胞癌、5.悪性黒色腫、6.乳房外パジェット病、7.悪性リンパ腫があります。これらの病気を言葉や写真を使って、誰にでも分かるように説明できればいいのですが、容易ではありません。実際、医学部の学生でも、卒業時点でこれらの皮膚ガンを正確に診断できる学生は、必ずしも多くはありません。ここではまず、これらの皮膚ガンの特徴を部位別にお話しします。体の部位により発生する皮膚ガンに特徴がありますので、参考になると思います。次に、皮膚ガンの早期発見に役立ちそうな6箇条をお話しします。顔
顔には、日光角化症、扁平上皮癌、基底細胞癌、悪性黒色腫ができることがあります。
日光角化症は若い頃に、紫外線を長時間浴びるような仕事をしていた年配の方の顔に生じる、一見湿疹様の赤い斑点(紅斑)やガサガサ(角化)したイボ(ここでは、皮膚表面より隆起した皮膚病変の総称、正式には結節という)です。(図1)
これ自体、命取りの病気ではありませんが、放置すると時に扁平上皮癌という転移する皮膚ガンに移行します。(図2)
また、顔には、黒いイボがよくできます。多くは脂漏性角化症や黒子という良性の腫瘍ですが、時に基底細胞癌であることがあります(図2)。しばしば、中心が潰瘍化する基底細胞癌は、ほとんど転移はしない癌ですが、皮膚の奥へ奥へと浸潤し、骨を破壊することもあります。
一方、顔のシミと間違える皮膚ガンに、悪性黒子があります(図3)。顔のシミと違い、徐々にではありますが、年々拡大するのが特徴です。
足底
日本人の場合、足底に悪性黒色腫がよくできます 。ある時、突然気がつかれる足底の黒いシミです(図3)。多くの場合は、良性の黒子ですが、時に悪性黒色腫のことがあります。体のどこにできても、悪性黒色腫と良性の黒子との区別は容易ではありませんが、最も簡単な指標は、その大きさで、長径が6mmを超したら悪性黒色腫の可能性を考える必要があります。
外陰部
男性では、陰嚢から陰茎にかけて、女性では、大陰唇とその周囲に、ほとんど湿疹と見分けのつかない赤いただれが生じることがあります。これが、乳房外パジェット病です(図4)。
しばしば、病院に行っても湿疹やカンジダ症と間違われます。しかし、通常の湿疹やカンジダ症などの治療は無効で、徐々に拡大していきます。やはり例外はありますが、痒くないのが特徴です。
爪
爪にも、悪性黒色腫ができることがあります(図5)。爪では、黒子は、一般に爪甲色素線状といって、縦に伸びる一本の黒色のすじとして生じます。このすじの幅が次第に広くなったり、すじに色むらができたり、爪がでこぼこしてきたりしたら要注意です。
体
体は、一般に常に衣服で被われ紫外線にさらされることがないので、比較的皮膚ガンの発症の少ない部位です。しかし痒みなどの自覚症状のない1cmから数cmまでの大きさの斑点として出現する菌状息肉症(図6)、直径が6mmを超える大型の黒子として気がつかれる悪性黒色腫(図3)、湿疹と間違われやすいボーエン病(図7)、様々な大きさ、形、色をもつイボとして、扁平上皮癌、悪性リンパ腫、隆起性皮膚線維肉腫などの皮膚ガンが生じることがあります。
頭
頭もそれほど皮膚ガンの出やすい部位ではありませんが、特に注意の必要なものが血管肉腫です(図11)。これは、高齢者に認められる血管のガンではじめは、頭を何かにぶつけたための皮下出血ではないかと思われるような出血斑として生じます。それが、なかなか直らないと思っていると、その一部からイボが生じてきます。その他、扁平上皮癌なども生じます。
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