膝・下肢
腸脛靭帯炎
12歳男性 新高校1年生
この4月から第1希望の高校に進学し、新たな希望にもえ陸上部に入部。仮入部期間も終わり、いよいよ本格練習が始まる5月初旬。4月末頃より徐々に両膝の外側に痛みを感じるようになり、だましだまし使っていたが、ついに痛みも限界。歩くのも困難になり普通の生活も困難に。
さてみなさんは、以上のような経過からどのような病気を思い浮かべるでしょうか?
このような症状を呈するものに腸脛靭帯炎というものがあります。
お聞きになった方もいらっしゃるかもしれません。
■腸脛靭帯炎とは
腸脛靭帯とは膝の外側と骨盤を結ぶ幅の広い、分厚いスジをいいます。頻回な膝のまげ伸ばし運動(ランニングなど)により、このスジが大腿骨の外側の膨らみの部分を乗り越えることにより炎症が起こり痛みを生じることをいいます。特に進級・進学し慣れない新種目を始めたばかりの4、5月、大会前で練習量が増える時期などに多くみられるようです。もちろん陸上部だけでなく様々な競技で起こります。
■症状
膝の外側(脛骨のGerdy結節部)に運動後の痛みが生じます。重症になるとじっとしていても痛くなり、日常生活にも支障をきたします。特に階段の昇り降りに支障をきたすことが多いのが特徴です。
また症状を4つの程度に分類し治療に役立てています。
Grade 1:疼痛は走行後に生じるが走行距離、スピードには影響しない
Grade 2:疼痛は走行中に生じるが走行距離、スピードには影響しない
Grade 3:疼痛は走行中に生じ走行距離、スピードに影響する
Grade 4:疼痛は強度であり走行を妨げる
■診断
診断は上記の症状のほか、同部位を押さえることにより痛みが生じるので診断は比較的容易です。
■治療
まず治療に先立って、この疾患をひき起こしたさまざまな原因、誘因を検討し、膝を曲げる筋肉などのストレッチ、アイシングを継続して行います。
1)身体
① O脚 ②過回内足(扁平足)③脚の長さの違い
2)走路
① 固い路面(アスファルト、コンクリート)
② 一方向に偏って回るコース(トラック競技など)
③ 左右に傾斜した路面
3)シューズ
① 脚に衝撃の少ないきちんとしたランニングシューズを履いているか?
(特に野球部、サッカー部などはスパイクシューズを履いたまま陸上トレーニングをしていませんか?)
② 土踏まずがあっているか
③ 左右同様に底がすり減っているか
④ 外側だけ極端にすり減っていないか
4)練習方法
① ピッチ ②距離 ③強度
5)フォーム
① 走る時に足先が内側に向いて走るフォーム
② 左右に揺れるフォーム
以上のような要素を検討したうえで
① 消炎剤・鎮痛剤の内服 ②湿布などの外用剤の併用 ③マッサージ ④ストレッチなどを行っていきます。実際には練習を休むべきか、どれくらい休めばいいのか、いつから再開できるのかなどが問題となってくると思います。個々の状態を見ながら判断することが必要となります。
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