医療法人 松田会

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耳の病気

 耳は「音を聴く(聴覚)」と「身体のバランス(平衡覚)」を担う大切な感覚器官です。耳の病気では、耳痛、耳漏(耳だれ)、耳閉感(耳のつまり感)、難聴、耳鳴、めまいなどの症状が出現します。
 代表的な耳の疾患を以下に記します。

急性外耳道炎

 外耳道(耳のあな)の炎症です。強い耳痛が特徴で、耳漏を伴うこともあります。後述する中耳炎でも耳痛を生じますが、外耳道炎の耳痛は、耳介(耳たぶ)を引っ張ると痛みが増強することが特徴です。局所への点耳薬投与、軟膏塗布などを行い治療しますが、炎症が強い場合抗生物質の内服投与を併用することもあります。

耳垢栓塞

 耳垢(じこう、みみあか)は、外耳道にある「腺」からでる分泌物や剥脱した上皮が固まったものですが、外耳道に耳垢(みみあか)がつまった状態を「耳垢栓塞」と呼びます。外耳道を完全にふさぐと強い耳閉感や難聴を生じますが、長期間耳垢栓塞の状態を放置しておくと「外耳道真珠腫」という状態になり、周囲の骨を破壊する場合もあります。 顕微鏡下に鉗子(かんし)や吸引管で耳垢を除去しますが、耳垢が硬くなってなかなか取れない場合には、耳垢を軟らかくする薬剤を点耳したのちに、耳洗浄(外耳道を生理食塩水などで洗うこと)を行って取ることもあります。

急性中耳炎

 中耳腔(鼓膜の裏の空間)への感染(細菌やウイルス)により急性の炎症が生じて、耳痛や耳漏、発熱などをきたします。乳幼児に多く、しばしば、風邪などの上気道炎に続発して発症します。 鼓膜所見では、鼓膜の発赤、膨隆(腫れ)を認め、炎症が強いと鼓膜が穿孔し(穴が開き)、耳漏が観察されることもあります。一般的に、軽症の場合は抗生物質や痛み止めなどの服用や、炎症をやわらげる薬液を点耳することで治療します。膿が溜まって鼓膜の腫れがひどく、痛みが強い時や、熱が高い場合は鼓膜を少しだけ切開して、溜まっている膿を排出します。

滲出性中耳炎

  中耳腔に滲出液が貯留する病気です。耳閉感や難聴をきたしますが、急性中耳炎と異なり、通常、耳痛はありません。お子さんでは、急性中耳炎から滲出性中耳炎の状態に移行することもあります。一方、成人では、中耳の換気に大切な働きをしている耳管(耳と鼻をつなぐ管)の機能の低下により発症することが少なくありません。鼓膜の観察で中耳の貯留液を確認することで診断がつきますが、治療方針などの決定のためには、聴力検査、ティンパノメトリー(鼓膜の可動性を見る検査)、耳管機能検査、レントゲン検査などを行うことが必要になります。治療ですが、中耳腔に空気を送る耳管通気(じかんつうき)という処置をしたり、鼓膜を切開して中に溜まった滲出液を出したりします。また、症状を繰り返すようなら、鼓膜にチューブを入れる手術を行うこともあります。

慢性中耳炎

  多くの場合、急性中耳炎の慢性化により起こります。鼓膜に穿孔を認め、風邪などをひいた際に、しばしば耳漏を繰り返します。中には、次第に難聴が進行する場合もあります。耳漏が出現しているときには、適切な抗菌薬の使用と耳内の清掃により耳漏を止める事になりますが、難聴を改善し、耳漏を止めるために、手術が必要になることもあります。また、慢性中耳炎の中には真珠腫性中耳炎といって、周囲の骨を壊しながら進行するタイプの中耳炎もあります。真珠腫性中耳炎は、進行すると難聴の他、めまい(三半規管の破壊)、顔面神経麻痺(顔面神経管の破壊)をきたす危険もあり、手術的な加療が必要な場合が少なくありません。

難聴

  耳が聞こえ難い事を難聴と呼びます。難聴の原因は様々で、上述のような中耳、外耳の疾患に起因する難聴を伝音難聴、内耳や聴神経などに原因がある難聴を感音難聴と呼びます。伝音難聴の多くは、基本的に原因疾患の治療により聴力を回復させることができます。一方、感音難聴ですが、突発性難聴や急性音響性聴覚障害(音を聞いた後に急に発症する難聴)など、急に発症した難聴は治療により聴力が回復する場合もありますが(概ね完全回復1/3、部分的回復1/3、不変1/3とされています)、加齢による難聴、長期間の騒音暴露による難聴など慢性的に次第に進行する難聴に対しては、有効な治療法がないのが現状です。回復しない難聴による聴覚障害に対しては、聴覚コミュニケーションの改善の為に補聴器や人工内耳などの聴覚支援機器が適応されます。

耳鳴

  耳鳴とは、周囲に音源が無いのに、自分自身の耳や頭の中で音が鳴っているように感じられる症状のことを言います。耳鳴の多くは、何らかの聴力障害と関係して発症することが多く、聴力検査や場合によっては画像検査も使って、耳鳴の原因になっている病気や、その性質を明らかにすることが大切です。一般に、慢性的な耳鳴自体を薬剤投与等で消失させることは難しいとされているのですが、最近は、補聴器などを使った音響療法の有効性が示され福音となっています。

眩暈(めまい)

 内耳にある三半規管や前庭は平衡覚をつかさどる器官です。眩暈の原因疾患のうち半数以上は、この内耳の機能不全が原因で起こるめまい(良性発作性頭位めまい症、メニエール病など)であるとされています。しかし、眩暈の原因は多彩で、脳腫瘍、脳梗塞などの中枢の疾患が原因である場合もあります。眩暈を感じたら、まずは、原因をよく調べた上で、原因に応じた治療を受けることが大切になります。
良性発作性頭位めまい症  
 内耳の前庭の耳石器という平衡器官にある「石」のかけらが、三半規管内に迷入することにより発症すると考えられている眩暈です。主に、寝返りや起床、臥床の動作により比較的短時間の眩暈(典型的には回転性めまい)が誘発されます。嘔気や嘔吐を伴うことはありますが、原則として、難聴や耳鳴は伴いませんし、意識消失や他の神経症状など中枢性の神経症状が合併することはありません。内耳が原因の眩暈の中で最も多いとされています。軽症の場合は、数週間以内の経過で自然軽快することも少なくありませんが、中等症以上の症例では、三半規管内に迷入した耳石を排出するための耳石置換法などの理学療法が有用になります。
メニエール病
 内耳のリンパ腔の液が増えて圧力が高まることが原因であると考えられている疾患です。典型的には、耳鳴、難聴、耳閉感などの耳症状を伴う眩暈発作を繰り返すことが特徴的です。しばしば、嘔気や嘔吐を伴いますが、意識消失や他の神経症状など中枢性の神経症状が合併することはありません。
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